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2006.11.16

 発泡酒、第3のビール、焼酎、カップ酒、ワイン。サラリーマンにやさしい廉価なお酒の人気がとどまることを知らない。安いのにうまい。晩酌、飲み会、鍋と色んな場面で楽しめる。今週のナイスポ特捜隊は、懐思いでとてもうまい「おトク酒」の今に迫る。

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◆廉価な上に「飲み分け」進み人気
 いま、廉価なお酒「おトク酒」が売れている。発泡酒に第3のビール、焼酎にカップ酒、それにワイン。景気も悪いし安いものが売れるのは当然、と思いがちだがそれは違う。実感こそ伴わないものの、とうの昔に統計上では景気は下げ止まっている。成長率は緩やかながらも、 今は戦後最長のいざなぎを超えようかという景気拡大局面にある。実際に「安いものと同時に高いものも売れている」(都内の酒屋チェーンの店員)という。では、所得の二極化を反映し、酒の世界でも格差が広がったのかと言えば、それもすべてではないらしい。 それでは、なぜ第3のビールなどの廉価なお酒が売れているかというと、「カジュアル感を楽しめるため。また、消費者の好みが多様化しているから」(ビールメーカー関係者)だ。つまり安いから売れているのではなく、毎度の晩酌やバーベキューなど気軽に飲みたい時は「おトク酒」というように、様々なニーズに対応する形で売れているのだ。じっくり飲みたい時はプレミアム系ビール、軽く飲みたい時は第3のビール、などという個人の中での「飲み分け」が進んでいるともいえる。 その種類が増え続けている「おトク酒」。「実に多種多様。選べるものが増えたので、色々なものが売れている」(都内の酒屋チェーンの店員)という。さらには、「おトク酒」を売る酒屋もこの冬、一挙に増加する見込みだ。酒類の小売業免許が9月に自由化されたことを受け現在、新規の免許申請が国税局に殺到しているからだ。コンビニエンスストアやスーパーのみならず、ドラッグストアや宅配業者などが「おトク酒」を売るようになる日も近い。そろそろおでんや鍋がおいしい季節。アナタもその時々、場面場面に合わせて、「おトク酒」を選んでみてはいかがだろうか。
◆『第3のビール』-メーカーの開発努力が結実 第3のビール消費量急増
 第3のビールは、04年にサッポロビールが発売した「ドラフトワン」がその第1号。03年に発泡酒が二度目の増税をされたことを受け、酒税法上ビールにも発泡酒にも当てはまらないものを開発した。原料を麦芽以外にしたり、ビールや発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたりしている。
 ビールに近い味を実現させながら、強い苦味やコクがないため飲みやすいと評判。ビールの半額近い価格とあいまって、消費量はもの凄い伸び方でビールと発泡酒に迫っている。
しかしその人気に目がつけられ今年5月、350ml当たり4円増税された。発泡酒に続く三番目のビール風飲料であることから、第3のビールと呼ばれるようになった。酒税法上は「その他の醸造酒(発泡性)(1)」、「その他の雑酒(2)」または「リキュール(発泡性)(1)」。メーカー側は新ジャンルと呼んでいる。
◆『発泡酒』-ビールのような味と評判 二度の増税にも負けず人気
 発泡酒が登場したのは、94年のこと。サントリーが「ホップス」を発売したのが始まり。当時、麦芽の使用率が67%より低ければ酒税法上ビールにならず、税金が安くなることに着目したもの。その後、ビールと変わらない味なのに安いと評判になり、瞬く間に普及した。しかし、96年に発泡酒の増税が行われ、麦芽の使用率による3段階の税制体系が導入される。麦芽使用率67%未満50%以上の発泡酒は、ビールと同じ税額となった。そこでサントリーは、麦芽使用率を低くし、一番安い税制が適用される「スーパーホップス」を開発。現在の発泡酒市場の礎を築いた。
 ところが03年には再度増税され、350ml当たり10円も値上げ。この度重なる増税で発泡酒の割安感は薄くなり、人気の伸びは鈍くなった。「増税により販売量が減ったため、結果的に税収も下がっている」ともいわれている。
◆『焼酎』-変わらず根強い人気 芋から甲類まで種類増
 相変わらず根強い人気を誇る廉価な焼酎の数々。味に癖のないものが多く、割って飲む時などに重宝されている。幅広いジャンル、種類のものが売られるようになっており、選ぶのに困るほど。紹介した品以外にも、地方の中小メーカーによる芋焼酎などが数え切れないほど登場した。都内の酒屋チェーンの店員も「焼酎ブームで色々な焼酎が表に出てきた。みなさん『今日は1000円だからコレ』などとその日の予算に合わせて焼酎を選んでいます」と話す。焼酎は、04年には日本酒の出荷量を上回っている。焼酎にはいわゆる甲類と乙類があり、甲類は連続式蒸留機で蒸留した「新式焼酎」。低コストでの大量生産に適している。不純物が少ない。乙類はその反対で、単式蒸留器で蒸留して作る日本古来の伝統的な酒類のこと。今年5月から甲類を「連続蒸留しょうちゅう」、乙類を「単式蒸留しょうちゅう」と呼ぶよう改正された。
◆気になる健康この体 お酒成分表の見方
 プリン体、カロリー、糖質。よく聞く言葉だ。しかし実際には、どれだけ体に悪いのかよく分からないという人が多いはず。
 プリン体というのは、細胞中の核酸を構成する成分の一つ。過剰摂取すると尿酸値が高まり、痛風を引き起こす。麦芽に多く含まれ、ビールには350ml当たり約25 mlが含まれる。この含有量は他の食品と比べても多くはないが、お酒の場合たくさん飲むので問題となる。一日当たり400ml以下の摂取が望ましい。
 カロリーも過剰摂取は問題。糖尿病や高脂血症など生活習慣病にかかり、心疾患や脳神経疾患につながる恐れがある。成人男性が一日に必要とするカロリーは2500kcal。
 糖分の過剰摂取は、ご存知の通り血糖値を高め、糖尿病の原因となる。肥満症になり高血圧や高中性脂肪血症などになる危険性もある。一日に必要な糖分は40g前後。
◆度重なる酒税法改正-メーカーの創意工夫を阻害
 ここ数年、発泡酒や第3のビールに対する増税が度重なり行なわれている。政府は03年には、当時売れ行きがかなり好調だった発泡酒に対し増税。これを受け各メーカーはより低い税率となる商品の開発に挑んだ。結果、いわゆる第3のビールが誕生。原料を麦芽以外にするなどし、酒税法上の「ビール」、「発泡酒」に当てはまらないものを完成させた。このメーカーの創意工夫に対し、政府は06年5月、第3のビールに対しても増税。350mlで約4円を増税した。こうした度重なる安易な増税に対し消費者からは「民間のメーカーの創意工夫を阻害するもの。取りやすいところから取っているだけだ」と批判の声が上がっている。
◆手軽な日本酒「カップ酒」のススメ
 廉価な日本酒と言えばカップ酒。昨年から人気に火がつき、ブームになっている。フリードランカーで「カップ酒スタイル」(ちくま文庫)の著者いいざわ・たつや氏は「05年頃からメディアがこぞって取り上げることによって若者や女性にもその存在が浸透、メーカー側も彼らを意識したデザイン・酒質の商品を新たに発売するようになりました。最近はかなり広く市民権を得たと思われます」と話す。安いものは110円というカップ酒。人気が広まったとはいえそれを支えるのはやはり中高年男性。その値段がサラリーマンの味方だからだ。カップ酒は「正一合の小宇宙」だと主張するいいざわ氏。おトク酒についてもこう語ってくれた。
 「安いお酒を日々購入し常飲する人々がいる以上、それらは絶対に存在し得ねばなりません。幸い日本酒の世界では相次いでレベルアップした安価商品が発売されています。このような動きが酒造業界すべてに広まれば『おトク酒』の未来は非常に明るいものとなるでしょう」
◆女性と健康派に人気
 安いワインがまずかったのは昔の話。最近では、安くてもおいしいワインが続々と登場している。落ち着いた雰囲気でしっとりと飲むことができるため、女性を中心にかなりの人気を博している。ポリフェノールを多く含むワインは体にもいいため、健康を気にする人たちの間でも評判となっている。ワインと言えばフランス産が有名だが、廉価なワインの中でのおすすめは南アフリカ産のものだ。
 実はこの南アフリカ、安いながらもおいしいワインを生産する知られざるワイン大国だ。これまで知られていなかった背景には、アパルトヘイト政策という人種差別政策があった。同政策に反対する不買運動の影響で、南ア産ワインは長らく日の目を見なかった。しかし同政策の廃止によって、広く売られるようになり、日本でも手に入るようになってきた。南アフリカ産ワインは、これからじわじわとそのファンを増やしていくだろう。
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